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7月7日に東京・有明アリーナで開催された日本―韓国戦で、トム・ホーバスヘッドコーチ(左背中)と話す渡辺雄太(中央)と八村塁=西岡臣撮影
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 バスケットボール男子日本代表の強化方針や体制について、パリ五輪代表の八村塁(NBAレーカーズ)が公の場で批判的な発言をしたことを受け、日本バスケットボール協会(JBA)の渡辺信治事務総長は20日、JBAの見解を明らかにした。

 八村は13日のグリズリーズ戦後の記者会見で、代表活動に「お金の目的があるような気がする」と述べたほか、トム・ホーバス男子代表ヘッドコーチが続投したことについて、「男子のことを分かっている、プロとしてもコーチをやったことがある人にコーチになってほしかった」と疑問を呈していた。

 JBAは、八村の代理人とオンラインで話し合う機会を設け、発言の真意を確認したという。

 渡辺事務総長が報道陣に説明した主な内容は、次の通り。

「お金の目的があるような気がする」発言

 「パリ・オリンピック前の代表戦、その前後を含めて、我々の中でのミスコミュニケーションがあった。そういったところで彼に負担をかけてしまったと考えている。一つは、八村選手が出場するかしないかというところ。代表に合流する前に、『コンディション調整の必要があるので、7月の日本での代表戦には出場できない』という話は我々も聞いていたし、それは承諾していた。一方で、現場の方としては、コンディショニングということだったので、日本に来てから、彼のコンディショニングについてもう1回、話をして、もし可能だったら(試合に)出ていただけるんじゃないかなと。これは希望的な観測だった。そういったこともあって、本人が来日し、その後、やはりコンディショニング優先だと決まるまでに、ちょっと時間のロスがあった。それを受けて(出場可否の)調整に時間がかかり、結果的には(欠場が)当日の発表になってしまったという経緯だ」

 「我々としては、本来だったらもっとちゃんとコミュニケーションを取るべきだったと思っている。協会の内部としても、もしかしたら決定のプロセスに問題があったのではないかと思う。例えば、チケットの販売。本当に今、バスケットはみなさんに支えていただき、発売するとほぼ即日、もしくは翌日には完売している。我々としては、八村選手を、商業目的のために(欠場の発表を)引っ張ったというような意図はなかった。もしかしたら、そういったところも、しっかりと伝わっていなかったんじゃないか。コミュニケーションミスみたいなものはあったかなと思っている」

強化試合のあり方

 「日本代表を強くしたいという彼の思いの中で、強化試合のあり方も今まで(八村と)話をしていた。オリンピック、もしくはワールドカップのような世界の強豪と試合をするような時に、本当に強化になる対戦相手とやるべきじゃないかと。これも色々と、日本の地理的な問題もあり、なかなかうまくはいかない現状はある。例えば海外で試合を行うという選択肢も含め、対戦相手をもっとしっかりと考えた方がいいんじゃないか、みたいな話も聞いたことがある」

 「ただ、我々としては代表活動の限られた期間の中で、当然だが、強化試合の目的としては日本で試合をすることによっての普及、普段は代表戦を見ることが少ない人たちに代表戦を見てもらう。メディアを含め、取り上げていただいてバスケットの価値を上げたい。それから、当然ですけども、我々の活動の原資になるスポンサーに対し、興行的に成功することも含め、我々の活動の原資をしっかりと稼がなくちゃいけない面もあり、日本での試合は我々にとっても非常に大きい。意図としては、日本を強くしたいし、日本のバスケットの将来を八村選手も考えてくれている。協会の活動みたいなところ、そういったところもしっかりとしたコミュニケーションをもっと取らなくてはいけなかったのかなと考えている」

代表ヘッドコーチの人選

 「我々としては、2028年のロサンゼルス・オリンピックに向けては、トム・ホーバスヘッドコーチのもとでしっかりとオリンピックでの成績を残すことを目指して進んでいく、と。JBAも彼を最大限にバックアップしていくと確認している。ヘッドコーチの任命にあたっては、当然ですけども彼の今までのコーチとしての実績、それから女子代表の東京五輪銀メダルというのもある。男子代表のヘッドコーチに就任してから実際、パリ・オリンピックの出場権を獲得したという実績がある。それから、河村勇輝選手をはじめ、若手選手の育成や発掘、そういった様々な点で彼が代表の強化で非常に秀でた点が多々あるので、ヘッドコーチに我々は最適だと判断した」

 「ロサンゼルス・オリンピックの出場を果たすためには、アジアカップ、そしてワールドカップで成績を残さなければならない。しかしながら、ワールドカップの出場に関しても、Bリーグを中心とした国内選手で出場権を獲得しなければならない。そのためには、ハードワークや組織的な強化、そういったものが重要。ホーバスヘッドコーチが今まで蓄積してきた強化の方針、実績を積み上げることで、その道を開いていくというところを考えている。この(続投の)決定というのは変わることがない。ホーバスヘッドコーチは多くの選手たち、それからバスケットの関係者もリスペクトする、世界的なレベルのコースであるというのは間違いないと思っている。基本的に、選手個人の意見でヘッドコーチを選ぶ、選考の対象にすることはないと認識している」

今後の八村の代表招集

 「今の段階では、アジアカップの予選も、ワールドカップの予選も国内の選手で戦っていく。NBAの選手は来られない。(NBA選手を招集する可能性がある大会まで)時間的にまだ猶予はあるかなと思っている。JBAとしても、今回は代理人を通してではあったが、当然、八村選手とコンタクト、コミュニケーションを続けていきたい。もし、そういった機会があれば、ぜひ私の方からも日本代表の強化方針や、これからの代表のありように関して、話をさせてもらいたいと思っている」

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